千里の道も一歩から

2015年から編み物にはまったので編み物ブログ開始。たまに育児日記、映画雑記、美術家としての愚痴も書くかも

サエコさんは巷によくいる計算高い女(失恋ショコラティエ感想)

サエコさん擁護派であるid:steinさんの記事を読んで、同じサエコさん擁護派として書きたい事がいくつかあったので久しぶりにブログを開きました。

stein.hatenablog.com

 失恋ショコラティエを全巻読了したあとの感想となりますので、ネタバレが大丈夫な方だけごらんください。またコミックが手元にないため、記憶が曖昧な部分があり正確な引用ができない事を先にお詫びします。

 さて、先述したブログについておなじサエコさん擁護派ではあるものの、気になる点があるともうしましたので、まずどの部分がきになるのか簡単にお伝えし、ひとつひとつ私なりの解釈をのせようとおもいます。

 

サエコさんがクソビッチって言われるのは、既婚者であるにも関わらず爽太に対して気のあるような素振りを見せてくるからだと思うんですけど、でもサエコさんは別に爽太とか男だけにいい顔してるわけじゃなくて女にもいい顔してるっつーか要は結構割と博愛主義の人なんですよ。カオルコさんにもすげー優しいじゃないですか。

博愛主義というより人間関係に波風立たせないようにするため周りの気配りに余念がないタイプなんだとおもいます。敵を作ってしまえばその分負担が増えます。そうしないために様々なタイプの人にも優しく接していけるよう愛想を忘れないのでしょう。そういう友人は私の周りにもたくさんいます。

 


サエコさんのこと憎んで嫌ってる人はサエコさんになんかされたわけじゃなくて自発的に憎んで嫌いにいってる人です(いろんな人を敵に回す発言)カオルコさんもそうです。強いて言うなら片思いの相手である爽太の気持ちを独り占めしてるサエコさんは間接的にカオルコさんにダメージを与えてるといえば与えてるけどそれって逆恨みだよねっていう。

毎回更新を心待ちにしている さんは以前ブログでカオルコさんはこの漫画の良心と称していましたね。私も6巻までのカオルコさんの対応は読者の怒りを鎮めるための良い役だったとおもいます。

topisyu.hatenablog.com

カオルコさんがサエコさんを毛嫌いしていたのは爽太くんに片思いしているという点とサエコさんの恋愛観に拒絶反応があったのが要因かと思います。サエコさんがどのような恋愛観であるかは後ほど後述します。

 

サエコさんも人生におけるある程度の不確定要素を愛する人なんじゃないかと思っていて、だから結婚式スイーツの打ち合わせの時にミニスカで登場したんじゃないでしょうか。この時のことを後に彼女は空振りに終わったと述べています。*9

とても前向きに解釈していますが要は結婚した後も男に好かれたいという事ですよね。倫理上、あのまま押し倒して事を為すなんてあり得ませんが、もしそういうアクシデントがあったら面白いかもという下心がサエコさんから匂います。このような思わせぶりな態度を1巻から6巻までちょいちょいやらかしているので、この行為を良しとするかどうかが分岐点になります。

以上3点が擁護派の私の解釈の中できになる部分でした。その他にもid:steinさんは丁寧にサエコさんを擁護しており、サエコさんに対する愛情を感じました。私もサエコさんの手腕に長く惚れ込んでいたのですがやっていることは正真正銘ゲスの極みなので出来るだけ客観的に解釈していきながら擁護していきたいとおもいます。

 

サエコさんは計算高いが世の女性の中ではよくいるタイプ

ブログのタイトルにも書きましたが彼女は様々な恋愛を経験していくなかで自分が出来るだけ損をしない方法で交際を続け結婚します。しかしそんな彼女でも一番ふさわしいとおもって選んだ旦那とうまくいかない事はあります。

選んだ相手がDVをする人だったというのはストーリー上、彼女のゲスポイントを少しだけ下げるためだけに用意された設定だとおもいますので、ここでDVされた事について感情的になるのではなく、彼女の恋愛にたいする考え方の普遍性に目を向けたいと思います。

どういう事かというと、たとえばサエコさんの結婚後の不満が5巻くらいまでちょいちょい挟まれていますがその不満というのが旦那とうまくコミュニケーションが取れなかったり、昔みたいに自由に恋愛ができなくなるなど、専業主婦になったことで初めて感じる閉塞感が現れています。呼吸をするように恋愛をしてきた彼女にとって急に一人の人にだけ愛を注ぐというのは(本来ならば覚悟のいる当然の事なのですが急激な環境の変化によって)退屈だと感じてしまいます。

そんな中自分に好意があるとおもわれる相手(爽太くん)が現れてきたら旦那に愛情はあるもののついつい火遊びをしてしまいたくなる気持ちも分からない話ではありません。私は以上の彼女の考えに対して専業主婦になれば誰かが一度は浮かんでくる悪い感情のひとつだとおもいました。

一人の人を一生愛し続けるってやっぱり大変なことだし、新婚にも関わらずあまり構ってくれない旦那にフラストレーションが溜まる気持ちもわかります。それでも不倫は不倫なので6巻までは思わせぶりな態度をみせつつも極力自分からアプローチをかける事をせずに過ごします。なので、それ以降バレンタインで思いを届けちゃった爽太くんは葛藤する彼女の一線を踏んでしまったようなものなのですが。

 

カオルコさんは彼女の浮いついた気持ちを見抜いている

三十路で独身のカオルコさんは24で結婚しながら他の男性に色目を使うサエコさんを理解できるはずがありません。どんな事情があるにせよ既婚女性たるもの一人の男性に心を尽くすべきという正義感を振りかざしながら彼女の振る舞いに嫉妬しています。その中でカオルコさん自身の恋愛観の脆さが見えてくるため、不器用な人だなと思いつつ彼女の批判には頷いていました。

批判の内容はどれも納得のいくものでサエコさんを擁護できる点はありませんが、結婚すれば良妻になるとは限らないし実際どれだけ多くの既婚女性が心から旦那を愛しまくっているかは疑問です。以前ドラマ『昼顔』が主婦の中で大旋風を引き起こしましたね。誰かは主婦業に閉塞感を感じ、誰かはそのうち不倫に走ってしまうだけでそれが社会的に非常識であるにせよ非日常的な行為とは言えないとおもいます。

 

終わり:サエコさんは読者を敵に回しても仕方ない事をしたが最後はちゃんと自分で解決している。

結局ハメを外してしまったサエコさんですが妊娠などをきっかけにもう一度旦那と向き合う事を決めます。勢いで爽太くんに乗っかってしまいましたがデメリットの多すぎる状況に対し彼女は我に返ります。もちろん最初から爽太くんに乗り換えるつもりはなかったのでしょうが一時の感情に甘えたあとのサエコさんはまた少し強くなってるような気がしました。

最後旦那に不倫を隠すセリフもソツがなくポイント高かったです。

 

以上、サエコさん擁護派から意見を述べると不倫をやや肯定的に解釈することになりますが私は不倫には関心がありません。共感というより、こういう話はよくない事ではあっても理解できない話ではないという立場でみてきました。いつの世も不倫する側が悪者にされがちですが、不倫する側もそれなりの葛藤があるのではないかと思います。

補足ですが不倫に対して非常に面白い解説ブログがあるのでこちらも紹介します。

ninicosachico.hatenablog.com

このブログの解釈に則ればサエコさんは"A1バンコラン型”に属するのだろうなとおもいました。

 

なんにせよ私はサエコさんの損得勘定で恋愛を楽しむタイプが好きです。サエコさんに比べれば全くモテるタイプではありませんが好意を感じる男性には思わせぶりな態度を取りたくなるし好きになった男性を攻略することに熱意をもって挑むタイプです。

それでも彼女のように上手くいかないことがあって壁にぶちあたったり誘惑に負けたりするのが人の恋愛なんだろうとおもいます。以前から水城せとなさんの綺麗事ではすまないというか、理不尽な恋愛ストーリーにワクワクしていたのでこれからも人間の業が垣間見えるような作品を楽しみにしています。